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ヤブガラシ(藪枯らし) … またの名を……

2008年06月28日 20:29

 近所の空き地や、どういうわけか建設途中で放置されたままのお家の周りで最近よく見かける蔓植物があります。

 日本全国、北は北海道から南は南西諸島辺りにまで分布しているようなので、ご覧になったことがある方もけっこう多いと思います。

ヤブガラシ(藪枯らし)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 なんともかわいらしい姿をしていますが、その名前はけっこうすごい。

 ヤブガラシ藪枯らしといいます。

 ほかの植物にからみつき、覆い被さるように繁茂して藪全体を枯らしてしまう、ということから付いた名前です。

 なんともアグレッシブな名前ですね。でも実際は、それほど過激な植物ではありません。たしかにはびこるとやっかいではありますが。

ヤブガラシ(藪枯らし)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 こちらが完全な花の姿です。

 花の大きさは、直径約5mm位でとても小さく、かなり近寄ってみないとこんな姿をしているなんてまず気がつきません。

 薄緑色をしているのが花弁(花びら)です。萼(がく)のように見えますが、正真正銘の花弁(花びら)です。4枚あります。そして上向きに立っているのが雄しべです。これも4本あります。そして中央に雌蕊が1本あります。

 花弁(花びら)と雄蕊は開花後半日もしないうちにぱらぱらと落ちてしまいます。で、そのあと一枚目の写真のような姿になります。
 普段目にするのはこちらの方が圧倒的に多いと思います。これを花盤といいます。

ヤブガラシ(藪枯らし)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 ヤブガラシ藪枯らしという名前は、こちらの写真を見ていただければ、なるほどね、と感じていただけるのではないでしょうか。
 こんな風に、”これでもかっ!”というくらいに巻き付いて蔓を伸ばしてゆくのです。

ヤブガラシ(藪枯らし)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 実はこのヤブガラシ藪枯らし)、昆虫たちにとっては大切な蜜源植物でもあります。

 オレンジ色の花盤にじわりとしみ出している液体がご覧頂けると思いますが、これが蜜です。午後から雨がまた降り始めていましたので、念のため指でちょっと取って舐めてみました。

 ほんのりとした甘みがあります。

 やはり、蜜です。

ヤブガラシ(藪枯らし)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 最後は、やはり花盤を横から見た様子です。中央に立っているのが雌しべです。蜜は、すでになくなっています。昆虫たちにおいしくいただかれてしまったようです。

 そうそう、このヤブガラシ藪枯らし)には別名があります。ある意味、ヤブガラシ藪枯らし)という名前よりもひどい名前かもしれません。どういう名前かというと、

 ビンボウカズラ(貧乏蔓)

 げ!、貧乏って……、うちらのことやん。

 ”庭の手入れどころではない貧乏な人の住処に生い茂る、あるいはこの植物に絡まれた家屋が貧相に見える、またはこの植物が茂ったことが原因で貧乏になってしまう、などの意味に解釈されている。”

 とフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には書かれています。

 あんまりといえばあんまりな名前じゃありませんかっ。

 で、ほかになんかええ名前あらへんのん? あんまりやん、と思いましたので探してみました。すると、やってみるものですね、ありました。

 ロウソクバナ(蝋燭花)

 ええやん、ええ名前やん。

 写真を見ていただければ、ああ、なるほど、と思っていただけるのではないでしょうか。
花盤と中央に立つ雌しべが、まさに蝋燭(ろうそく)のようですね。


 ヤブガラシ藪枯らし) ブドウ科ヤブガラシ属の多年草 Cayratia japonica

 分 布   日本全国
 生育地   藪、草むら、貧乏人の庭先(ちがうって!)
 花 色   緑色 花盤はオレンジ色やピンク色
 花 期   6月〜9月頃

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ツユクサ(露草) … 野辺に咲く、名を蛍草ともいひけり。

2008年06月26日 02:13

伏見区 日野

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 私の住んでいる京都、伏見区の日野というところは山科を経て、滋賀県浜大津へと通じる交通量の多い幹線道路、外環状線や、地下鉄東西線など都市化された環境にありながら、すこし山手にゆくとこんな風景をごくあたりまえに見ることができます。

 交通の便が良くて、風光明媚な土地、とでも言うのでしょうか。(京都では一般的に”いなか”扱いされている感がありますが、たしかに田舎であることは間違いありません)

 写真のこの場所は、家を出て家並みを一つ二つ曲がるとすぐの場所にあります。写真奥が、前回の記事でご覧頂いた森です。

伏見区 日野

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 雨の後ということもあって、大粒の雨の滴がころころと葉叢の上にあやうそうに、のっかっています。

蒲公英と滴

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)の萼片から、いまにも、ぽとりと落ちそうな滴を捉えてみました。

ツユクサ(露草)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 そして、セイヨウタンポポの周辺には、透けるような青い野花が花を咲かせています。

 ツユクサ露草です。

ツユクサ(露草)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 このブログの一番最初の記事もツユクサ露草)でした。(万葉集から … ツユクサ(露草)

 ちゃんと続けてゆけるのだろうかしら……、などと思いながらのスタートでした。なんだか感慨深いものがあります。

 その記事の中で、こんな歌をご紹介しました。万葉集に残されている、ツユクサ露草)に題にとった歌です。

 月草(つきくさ)の、借れる命にある人を、いかに知りてか、後も逢はむと言ふ

 私の命は、つゆくさのように短く儚いのに、また後で会おうと言われるのですか(私にはこうしてあなたと一緒に過ごせる今がすべてなのに)


 早朝に花開き、午後にはもうしぼんでしまう短いツユクサ露草の花に、切ない思いを託したものと言われています。

 ここまで続けてくることができたのも皆さんのおかげです。本当に感謝しています。


ツユクサ(露草)

写真の撮影地 京都市伏見区日野 (写真をクリックすると、800×599 pixelでご覧頂けます)

 ツユクサには、多くの別名があります。青花、藍花、月草(付草)……、やはり染め物の染料に使われていた事に由来する名前が多いようです。

 他に蛍草という名前も持っています。

 幼い頃、九州の山深い農村で育った私は、蛍をつかまえて籠に入れるときに、このツユクサ露草)を一緒に入れた記憶があります。

 なぜそうするようになったのかはわかりませんが、蛍草という名前はきっとそんなところからついたのだろうと思います。

 花自体は6月頃から咲き始めるのですが、俳句の世界では、露草、月草、蛍草などの呼び名で、秋をあらわす季語になっています。

 ツユクサ露草)の持つイメージはやはり”秋”なのかもしれませんね。

ツユクサ露草 ツユクサツユクサ属の1年草 Commelina communis

 生育地   田んぼや畑のあぜ道、道ばた、草地
 分 布   全国
 花 期   6月〜10月

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